自己との対峙
『もたれ合い、群れて騒ぐのは友ではない。そして趣味の合う同好の士とも違う。お互いが一人であり、孤独と沈黙を共有し合える関係こそ、本当の友であることを笹川さんとSSAに集うメンバーと出会ったことで、人生で初めて体感することができました。それは以前、笹川さんが“自分と違う個性をもつ人間を極めて理性的に、かつ付き合うべき人間を差別ではなく区別して、己の意志で決めている”いう真意が、やっと理解できました。これからも長い経営者人生を送る道中には、様々な出来事が起きると思いますが、笹川さんの織り成すこの“無所属の時間”を大切にしていきます。そしてトップとして目先の事柄に囚われず、一人の人間として自己研鑽に励みます』。
洪守八(ホン・スパル) 享年四十五歳
かつて、SSAに一人の男がいた
名は、「洪スパル」。
生きていれば、47歳・・・
知り合いが企画した、経営者10名による「住之江競艇場ツアー」の参加者だった。
当時私は46歳、彼が41歳。
出会って間もなくして、彼から面談希望が入り東京で会うことになった。ほどなくして、2014年8月から私のエグゼクティブ・コーチングに対して、大変関心をもちクライアントとしての付き合いが始まった。
同時期に、彼はSSAの存在、そこに集う「人物」にも興味を持ち、私のクライアントであることを伏せて会員となった。
彼の人物評を表現すれば、
・「外はジェントルマンでもありながら、内に静かに燃える灯をもつ男」
・「会員の中でも屈指の知的好奇心が極めて強い男」
・「自分のわからぬことを、素直に頭を垂れることができる勇気のある男」
北京にSSA有志らで、出かけたこと。大阪へ出かけては、二人で朝方まで語りあったこと。
本当に代え難き逸材を失ったこと、人生初の「死」と向き合ったことなど・・・思い出は、語りつくすことはできない。
彼亡きあと、会社は奥様が社長就任をし、「洪イズム」は継承しつつ、彼は未だに創業した企業の中に生き続けている。